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ハノイ美術博物館で巡回展「もう一つの日本ガイド」 景観デザイン研究者らが考察

広島市環境局中工場谷口吉生(撮影=北嶋俊治さん)

広島市環境局中工場谷口吉生(撮影=北嶋俊治さん)

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 ハノイ美術博物館で現在、国際交流基金による海外巡回展「構築環境:もう一つの日本ガイド」が展示されている。

「構築環境:もう一つの日本ガイド」 会場の様子

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 日本の美術や文化を海外へ紹介する国際交流基金の活動の一環で、同展はすでにインドネシア、韓国、インド、マレーシア、中国などを巡り、今回ベトナムでの開催に至った。日本の各都道府県に現存する建築、土木、ランドスケープなど80点を取り上げ、写真とテキストと映像で紹介する。「日本の文化、歴史が分かるように、絶妙な設計がある建設工事を展示する」と同展スタッフの杉崎愛さん。

 「日本は南北に長い列島で、四季の変化に富み、地理的な多様性に満ちている。加えて、地震、噴火、津波、台風などの自然災害に頻繁に見舞われてきた。当然、そこで造られる建築や土木やランドスケープは、そうした条件を色濃く反映している。つまり、日本の建造物を、エレガントな造形性や高度な技術などの観点からのみ評価するのでは、その面白さの一部分を理解したことにしかならない。それらを歴史的背景や空間的文脈との対話の産物として評価すること、そうした観点から見て興味深い建築や土木やランドスケープに目を向けてみること、それが『構築環境』というアイデア」とも。

 取り上げるのは、モエレ沼公園、京浜工業地帯、本州四国連絡橋、広島市環境局中工場など。杉崎さんは、「日本が近代化以降、高度経済成長やバブルの崩壊を経て今に至るまでの間、どのような『対話』をしてきたか、それを、建築史家と景観デザインの研究者とアートのキュレーターの3人が複合的に考察し、日本という国の歴史や環境や文化をより深く理解するために作り上げたのが当展。従来あまり紹介されてこなかった日本の一面を紹介する『もう一つの日本ガイド』となれば」と期待を込める。

 開催時間は8時30分~16時45分。7月5日まで。

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